東京・丸の内で半世紀にわたってサラリーマンたちを足元から支えてきた靴磨き職人・赤平健二さん。この地で55年、磨いてきた靴の数は、なんと20万足に上る。赤平さんのもとには、多い日に20人ほどが訪れ、常連客も少なくない。赤平さんの人気の秘けつは、こだわりの道具を駆使した技術にある。高校卒業とともに靴磨きを始めた赤平さん。路上で靴磨きを行っていた両親を手伝い、継ぐ形で、磨きの世界に入った。当時は、高度経済成長期。駅前には、靴磨き職人たちがあふれていたという。しかし、時代とともに需要も減り、今、東京駅で靴を磨くのは1人だけ。それでも赤平さんがこの仕事を続けるのには理由がある。靴磨きだから得た絆と風景。赤平さんは、東京駅や靴など、その時々の思いを描いてきた。描いていた絵のテーマは、東京駅と人。丸の内で半世紀。きょうも赤平さんは、行き交うサラリーマンの靴を磨く。現在23区内で許可証を持って路上靴磨きをする人は5人ほどという。