認知機能の改善を目指した研究について。ことし1月、認知症の人が安心して暮らせるための国や自治体の取り組みを定めた認知症基本法が施行されて、新しい治療薬の投与も始まるなど、注目が集まっている。最新の研究で、運動や食事の改善などを組み合わせて継続することで、認知機能を改善できる可能性が見えてきた。神戸大学などの研究グループが、兵庫県丹波市で2020年から行った研究プログラム。参加したのは65歳から85歳の約200人、物忘れの自覚など認知機能に不安のある人たち。プログラムでは週1回、筋力トレーニングや頭を使いながら体も動かす運動を行う。頭と体を使う運動で、脳に刺激を与えることが目的。プログラムでは、運動、食生活の改善、脳を鍛えるゲーム、睡眠時間などの生活管理の4つを組み合わせて、1年半続けてもらい、認知機能の改善への効果を調べた。過去の研究では、個別の取り組みでの効果を検証するものが多く、専門家の間で評価が分かれてきた。今回の研究の結果、参加したグループでは参加しなかったグループと比べると、認知機能の数値が4割高かったことが分かった。研究グループによると、複数の対策を組み合わせることで、高齢者の認知機能が向上することを確認したのは国内で初めて。バランスよく栄養をとるための10種類の食材の分類(出典:SOMPOケア)。このうち7種類以上を、1日で食べることを目標としている。参加した安部さんは始める前と比べ認知機能が改善していた。研究グループでは運動・食事の改善などを組み合わせて継続することで認知機能が向上すると見ている。