- 出演者
- 桑子真帆
認知機能を改善するには運動や食事が大切と言われるが、それだけではない。最新の研究で認知機能を向上させる秘けつがわかってきた。カギはある4つの対策を長期間組み合わせて行うこと。治療の最前線で見えてきたのは?
オープニング映像。
人と会う約束を忘れる、同じものを何度も買う、財布に小銭がたまるなど、認知機能が低下して生活に支障が出ると認知症と診断される。この前の段階で対応すると、認知機能は改善するとされてきた。今年9月、最新の研究で4つの対策を組み合わせると認知機能が向上すると実証された。
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認知機能に関する注目の研究が行われたのは兵庫県丹波市。65~85歳の約200人、1年半かけたプログラムの分析結果が発表された。参加した人たちの認知機能の数値は参加しなかった人に比べ4割高かったことがわかった。プログラムの特徴は4つの対策を組み合わせて行うこと。運動、食生活の改善、脳を鍛えるゲーム、生活管理の4つを長期間行い効果を測定した。プログラムに参加した阿部多加子さん、84歳。家事や畑仕事で毎日体を動かしているが、物忘れが気になっていた。草刈りに使ったカマを置き忘れたこともあった。プログラムの1つは定期的な運動。決められた方法で週1回行った。50分の筋力トレーニング・有酸素運動、20分の二重課題運動を行った。プログラム2つ目は食生活の改善、食事を推奨されたメニューにする。10種類の食材に分類された中で毎日7種以上をとる。阿部さんはメニュー通りの食品をとろうとしたが、納豆が苦手だった。納豆の代わりに食べることにしたのが黒豆。プログラムにはさらに、週に4日以上脳を鍛えるゲームをする。生活管理のために歩数や睡眠時間などを記録する。こうした4つのプログラムを1年半行った。阿部さんの認知機能スコアは向上した。
4つの対策を組み合わせる効果を国内で初めて実証した今回の研究。研究グループによると、これまで運動や食事など個別の対策を調べる研究は多く行われてきたが専門家の間で評価が分かれていたという。プログラムに参加する阿部さんはできるだけこの習慣を続けていきたいという。
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認知機能の改善には、運動・食生活の改善・脳トレ・生活習慣の管理、この4つの組み合わと継続が重要。このうちの運動をスタジオで実践した。二重課題運動を紹介した。食事のポイントは分類された10種類のいうち1日7種類以上を接種することが重要。認知症になる前は軽度認知障害とされ2040年には推計612万人とされている。木下彩栄さんは年齢、最近のニュースを聞いたときにとりつくろい反応をするときは注意。認知症の軽度の方には去年から新薬が投与されるようになった。これによって症状が悪化するスピードをやわらげる効果があるとされている。
60代の田中さんはここ数年、探し物が増え、新しいことを覚えるのが難しくなっている。娘からすすめられて病院を受診したところ、アルツハイマー型の軽度認識障害と診断された。主治医から提案されたのは去年9月に承認された新薬・レカネマブ。アルツハイマー病の患者の脳には異常なタンパク質がたまり、神経細胞が壊れることで脳が萎縮していくとされている。レカネマブはこのタンパク質に結合して取り除くことで症状の進行を抑制する。原因とされる物質を取り除く薬は初めて。田中さんは今年4月から点滴による薬の投与を2習間に1回受けている。この薬は1年半の投与で認知機能の悪化を5か月余り抑制する効果があるとされている。投与の対象はアルツハイマー病による軽度認識障害、軽度の認知症の患者。現場の医師は効果をみるにはさらに多くのデータが必要だという。これまでに治療を受けた患者は約5000人。薬への期待が高まる一方で供給体制の課題も見えてきた。
東京・板橋区にあるクリニックでは現在、6人の患者にレカネマブを投与しているが、これ以上受け入れを増やせないという。院内の点滴スペースには限りがあり、1回に1時間以上かかる点滴に対応する看護師も不足している。さらに、治療ができる医療機関の数が少ないという課題もある。患者は治療を開始して半年間は副作用に対応できる設備が整った医療機関で薬の投与を受ける。その後は地域のクリニックで治療を続けるのが一般的だが、患者を受け入れる認知症の治療に関わる学会の専門医が常駐していることが条件とされている。専門医がいるクリニックの数は限らるため、現在全国で900か所にとどまっている。
去年12月から新薬・レカネマブの投与がはじまった。岩坪威さんはこれまで5000人ほどの患者さんが投与を受けた、どういう方に効果があるのか?どうすればさらに効果が出るのか?など研究の余地があるという。レカネマブの他にもドナネマブという新薬もある。レカネマブの投薬を受ける対象は軽度認知障害・軽度の認知症のアルツハイマー型のい患者で、通院は2週間に1回で1年半の投薬、費用は自己負担で約1万円~10万円程度。副作用としては、脳に水分がたまりむくむ、脳内でわずかな出血、より危険性の高い脳出血などがある。木下彩栄さんは、認知機能低下についてはかかりつけ医に相談し、専門機関で検査をするが、各市長村の地域包括支援センターで相談できるという。