京都市北部・京丹後市の山の中。家があった痕跡は”力石”と呼ばれる集落跡。そこには家庭にあるポストが立っており、中には一冊のノートが置かれている。このノートを設置したのは力石集落で生まれ育った永江正明さん。ここを訪れた人に記録を残してもらうために設置した。力石集落は26世帯・約120人がクラス比較的大きな集落だった。特徴ある屋根の住宅が並ぶ美しい集落だったという。しかし60年余り前に火事が起き、殆どの建物が全焼。集落の様子は一変した。火事で生活の基盤を失った住民は次第に集落を離れ、やがて誰もいなくなった。永江さんは小学6年生の時に力石集落を離れた。火事からから約60年が経過した2018年、永江さんは元住民などを協力して集落跡に石碑を建てた。その石碑には集落の歴史とともにいつか再び人が住んで採光することを願う気持ちが刻まれている。永江さんは夫婦で時折この石碑を訪れ、草刈りや手入れを続けている。するとノートには訪れた人の記録だけではなく、集落への思いも書き込まれるようになった。ノートにはこれまで延べ250件以上の書き込みがされた。ノートは集落への思いとそれを応援する人たちの気持ちを書き込む場となっている。永江さんはこの日もノートに思いを記した。ノートの存在は徐々に知られるようになり、このノートを目指して訪れる人もいるという。