夏季ダボス会議で開かれた「No Power No AI」と題した個別セッション。加熱するAI投資に疑問を投げかけたのは中国のCATLの創業者曽毓群会長。AIの発展にともないデータセンターの電力需要は急速に増加。脱炭素とAIを両立させるためには太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入と蓄電池の活用が重要。CATLは足元でデータセンター向けに再エネと組み合わせた蓄電池システムの事業を拡大。AIの利便性だけを求めるのではなく気候変動対策などAIインフラが持続可能な形になるような社会実装の必要性を訴えた。中長期的なビジョンだけでなく研究開発の現場でも複雑に変化する物質の分析などにAIを活用し始めているCATL。製造部門のトップは「どのような企業でもAI革命を受け入れなければ淘汰される」などコメント。アメリカのシンクタンク全米経済研究所が過去3年間でAIが自社の雇用や労働生産性の向上に影響を与えたかを主要4カ国の企業幹部約6000人を対象に調査したところ9割ほどが影響がなかったと回答。AIの進化に対して実際の社会実装が追いついていない現実が浮き彫りになった。そうした中、中国はハイテク製造業の分野で圧倒的なスピードで社会実装を進めている。その勢いに世界が注目する中、会議には過去最多となる90カ国1800人超の関係者が集まった。日本からの参加者ライフタイム・ベンチャーズの芝尾さんは「イノベーションに対してスケールするにはどうしたらいいのか考え、もしかしたらバトンパスするパターンもあるかもしれない。みんなで設計していくのが重要なのではないか」などコメント。社会実装の規模に応じて得意なパートナー企業へとバトンを引き継いでいく手法も。丸紅の下司さんは「イノベーションというと発明や技術創出にフォーカスされがちだが、社会実装化、産業化、持続可能な成長モデルへの昇華、拡張。全部見てイノベーションだ」などコメント。三菱電機の岡さんは「今年は技術革新は加速していると実感しているが、実装する上でまだまだギャップがある」などコメント。
