去年1月の能登半島地震のあと、9月に豪雨災害にも遭い二重被災となった石川・能登地方。今、被災した事業者が被災前の負債に加えて新たに借り入れを行わざるをえなくなる二重債務の問題に直面している。地震と豪雨で大きな被害を受けた石川・輪島市。豪雨災害から今日で半年。市内に新たに完成した仮設住宅への入居が始まった。長く続いた避難生活を終え、ようやく仮設住宅で暮らせることになったという人は「ひと安心。ここから再出発」と語った。地域の復興を支える事業者が今、直面しているのが二重債務の問題。運転資金などの確保のため金融機関から借り入れをし、返済を続けていた事業者が地震と豪雨で被災。被災前の返済も終わっていない中だが設備の修理などのために新たな借り入れが必要となり二重債務を抱えてしまうことになる。石川・珠洲市の自動車整備会社は地震と豪雨で二重被災し本格的に事業を再開するためには建物や機械の修理、購入などで数千万円の資金が必要になる可能性がある。ただ売り上げは顧客の減少などで地震前の7割程度に落ち込んでいて新たな借り入れをして二重債務を抱えることに不安を感じている。自動車整備会社・関原崇倫社長は「借金なので不安なところはあるが会社を続けていくことが一番」と語った。中小企業庁が設置した事業者のための相談センターには、こうした二重債務の相談が相次いで寄せられ約半数が負債の総額が資産の総額を上回る「債務超過」の状態になっている。債務超過が続くと事業が継続できなくなる恐れがあり、中小企業庁は石川県や金融機関などが出資した「能登半島地震復興支援ファンド」を活用した支援を進めている。金融機関から債権を買い取ることで借入金の返済の期間を延ばしたり被害の状況を踏まえて債権を一部放棄したりするなど、返済の条件を検討。事業者が新たに借り入れをしやすくするなど支援につなげる。能登地方の被災地で相談に応じる乾とも弁護士は「事業を立て直していくうえで、さらに借り入れwする人が増える可能性が十分ある。借り入れという選択はやむを得ない。いかに救っていくのかということは必要」と語った。