ことし7月には、徳島県美馬市で川に転落し、乗っていた91歳の男性が亡くなった。地元の自治会長は、道路と川の境目が分かりづらく“踏み外すおそれがある”と不安を感じていた。事故からおよそ1か月後、道路と川の境目を分かりやすくするため、市は転落防止のポールを設置した。NITE(製品評価技術基盤機構)が確認したところ、2015年から去年までの9年間に、シニアカーなどの電動車いすの転倒や脱輪による事故は全国で55件確認され、25人が亡くなっている。ことしは8月末までにすでに5人が亡くなっている。いずれも川や用水路などへの転落が原因とみられている。NITEでは、転倒事故を再現した動画を公開している。例えば踏切では、溝にはまって動けなくなるおそれも。できるかぎり踏切での走行は避ける、やむをえず通る場合は砂利の部分へ転落しないよう端に寄り過ぎないことも重要。このほかにも、段差の乗り越えや、上り坂での転倒など、さまざまな場面で注意を呼びかけている。事故を未然に防ぐために、周囲の人にもできることがある。家族や介助者は、ふだん通る道の側溝や段差など、気をつける場所を一緒に点検すること。また、すれ違う歩行者側にも意識できることがある。急にハンドルを切ると転倒する危険もあるため、歩行者側ができるかぎり道を譲る気持ちを持つことも大切だという。