鳥取県佐治町。記録的な大雨から約10か月。道路や護岸の復旧工事は今も続き、災害の爪痕が残る中、今年も出水期を迎えた。住民主体で地域防災を考えようと、佐治町で大雨被害を受けて立ち上がった実行委員会。この日は自治体や自主防災会の代表など約10人が災害時にとるべき行動を世帯ごとに予め決めるため意見を出し合った。第3区と呼ばれる地区の代表・小林憲二さん。佐治町の中でも地形や配慮すべきリスクが地区ごとに異なることから実情を踏まえた対策を進めるべきだと訴えた。この地区に暮らすのは約200世帯。9つの集落が点在し、川の近くだけでなく、山沿いにも住宅が多いのが特徴。去年の台風では山沿いにある小林さんの自宅近くの道路で大量の土砂が流入した。地区全体を見ても土石流や地滑りなど場所ごとに異なるリスクが潜んでいる。地区ごとに抱えるリスクや不安に対応した計画を作るため、小林さんは1人1人の声を聞くことが重要だと考えている。特に地区に暮らす高齢者を気にかけている。小林さんは近所に1人で暮らす94歳男性を訪ねた。男性は「足が悪くなってからは不便でどうしようもない。子供らも隣に住む人も放っておきはしないけど俺ばっかりに構っていられない」と話す。小林さんは「一歩ずつ一歩ずつ一つずつやって積み重ねて災害に強い地域に出来たら」と話した。