- 出演者
- 片山千恵子 保田一成 遠藤章造(ココリコ) 入江聖奈
去年発生した台風7号は近畿を縦断し鳥取県にも被害が及んだ。2016年には最大震度6弱の鳥取県中部地震が発生しライフラインにも影響が及んだが、教訓として避難を促すために命令口調の呼びかけが行われるようになった。さらに、行政などが連携して被災者を取り残さないようにする取り組みも進められている。
鳥取県佐治町のプラザ佐治 記念ホールから収録は行われ、入江聖奈さん・遠藤章造さんとともに防災について伝えていく。防災の情報はNHK防災 HPからも確認することが可能となっている。
スタジオでは鳥取県は自然災害が多いと思う?という質問が行われた。スタジオでは半分ずつといった形となったが、専門家の柗見吉晴氏は全国ニュースになる大規模災害は少ないが、佐治町でも線状降水帯が発生するなど想定を超える自然災害への備えが必要だとしている。
去年発生した台風7号は近畿を縦断しているが、鳥取県と岡山県でも線状降水帯が発生し緊急安全確保が出されていた。鳥取・佐治町では高山橋が崩落し、482号線が崩落したことで一時1597人が孤立状態となった。避難が進むきっかけとなったのは強い口調で緊急安全確保を伝える無線で、命令口調から近所の人も避難していったと話す様子を見せている。西日本豪雨の際に避難したのは1300人ほどとなっていたことから、多くの人に避難してもらうために避難指示以上となった場合に命令口調とすることで多くの人を助けようとした。担当者は一人でも多くの方が助かるために怖いということが伝わることを第一に伝えたと振り返っていて、台風7号の際に避難したのは西日本豪雨を上回る1934人となった。
佐治町の会場でも命令口調の放送を聞いて避難しようとしたと話す声が聞かれていた。避難スイッチという考え方もあるのだといい、避難の情報・異変・呼びかけが影響しているのだという。地区で避難スイッチを共有化することは早めの避難にもつながるのだという。鳥取市・南大覚寺町内会では地区の会館から見える樋門の推移から避難を進める試みを行っていて、行動を共有する様子が見られる。
鳥取県佐治町。記録的な大雨から約10か月。道路や護岸の復旧工事は今も続き、災害の爪痕が残る中、今年も出水期を迎えた。住民主体で地域防災を考えようと、佐治町で大雨被害を受けて立ち上がった実行委員会。この日は自治体や自主防災会の代表など約10人が災害時にとるべき行動を世帯ごとに予め決めるため意見を出し合った。第3区と呼ばれる地区の代表・小林憲二さん。佐治町の中でも地形や配慮すべきリスクが地区ごとに異なることから実情を踏まえた対策を進めるべきだと訴えた。この地区に暮らすのは約200世帯。9つの集落が点在し、川の近くだけでなく、山沿いにも住宅が多いのが特徴。去年の台風では山沿いにある小林さんの自宅近くの道路で大量の土砂が流入した。地区全体を見ても土石流や地滑りなど場所ごとに異なるリスクが潜んでいる。地区ごとに抱えるリスクや不安に対応した計画を作るため、小林さんは1人1人の声を聞くことが重要だと考えている。特に地区に暮らす高齢者を気にかけている。小林さんは近所に1人で暮らす94歳男性を訪ねた。男性は「足が悪くなってからは不便でどうしようもない。子供らも隣に住む人も放っておきはしないけど俺ばっかりに構っていられない」と話す。小林さんは「一歩ずつ一歩ずつ一つずつやって積み重ねて災害に強い地域に出来たら」と話した。
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鳥取県が支援している取り組みが支え愛マップ。支援が必要な方と支援できる方が安全に避難できるように見える化したもの。地域でどのような方がどのような時間帯に存在しているか、支援できる方がどれだけいるかという情報を地域で共有する、そのことにより支え愛マップが作れる。
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2016年発生の鳥取県中部地震。最大震度6弱を観測し、330棟の家屋が全半壊。被災家屋は1万5000棟以上に。地震の規模を示すマグニチュードは6.6。各地で水道管が破損するなどライフラインにも影響を与えた。死者は出なかったが、一時避難所に身を寄せた人は2980人に上った。2000年発生の鳥取県西部地震。最大震度6強。マグニチュードは阪神・淡路大震災と同じ7.3。この地震でも死者は出なかったが、多くの家が全半壊。震源となった山間部では土砂崩れなどが原因で通行止めとなる道路が相次ぎ、沿岸部では埋立地や漁港で液状化現象が発生。交通や地場産業にも大きな影響が出た。鳥取県は中国地方でも大きな地震が頻発している地域。活断層や地震の活動により中国地方は3つのエリアに分けることができる。約100年の間に起きたマグニチュード5以上の地震の分布図。県全域で発生しているのが分かる。こうした地震は県東部でも。1943年発生の鳥取地震。木造家屋の大半が倒壊し、大規模な火災が発生。1210人が亡くなったとされている。これまで東部・中部・西部と県全域で発生してきた地震。次はいつ・どこで起きるのか、どんな備えが必要なのかを考えていく。
なぜ鳥取県で地震が多いのか。2000年の最大震度6強の地震の時には入江聖奈は母親のお腹の中だったといい、地震の3日後に誕生したという。このあたりで起きる地震は津波を起こす海の地震とはメカニズムが異なるという。その原因となるのが流体。地震対策として大切なのが住宅の耐震化。内陸の地震は近くで発生するとすぐに強い揺れがやってくるため、身を守りにくいため、倒壊の危険性を免れるためにも耐震化は必要になると専門家は指摘。島根県では一戸建て住宅の耐震改修で最大120万円の補助が受けられるという。耐震シェルターを作るなどの簡便な方法もあると紹介。強い地震が何度も来ることにより家がだんだん弱くなるため、家の耐震化が必要だと訴えた。
鳥取県では、災害ケースマネジメントを制度化し被災者支援を行っている。鳥取県が行う災害ケースマネジメントでは、行政が中心となり、被災者を訪問し、住宅の保全や健康の不安など困っている状況を把握し、行政が行う支援制度につなげる。被災者からの申し出を待つだけでなく、行政から被災者にアプローチしていくのが最大の特徴。その後ケース会議を開催し、支援の方針を話し合う。支援計画を立て、支援を実施することになる。この仕組みは2016年の鳥取県中部地震後に制度化された。鳥取県西部地震以降、県は被災住宅の修繕費用を補助している。倉吉市の矢城さんは地震で自宅の屋根瓦が崩れたが4年間修繕することができなかった。その理由は資金面の問題だったという。困っていた矢城さんを助けたのが災害ケースマネジメントだった。ブルーシートに気づいた担当者が矢城さん宅を訪問し、担当者は県が新設した補助金制度を紹介し、申請手続きから業者の手配まで行ったという。屋根瓦は補助金だけで修繕することができたという。災害ケースマネジメントについて、矢城さんは感謝しているなどと語っていた。
鳥取県の災害ケースマネジメントについてトーク。入江聖奈は制度があっても知らないこともあると思うので行政側から歩み寄ってくれるのは助かると思うとコメント。災害ケースマネジメントは宮城県など他の地域で行っているところもあるが自治体で制度化したのは鳥取県がはじめてだという。また、新たな取組として被災前に災害ケースマネジメントの体制を整えることをはじめている。
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鳥取県日野町では、20年以上前から、ボランティアによる見守り活動が行われている。見守り対象は、75歳以上の高齢者だけで生活する約350世帯だ。毎月誕生日を迎える人々を訪問している。2000年に発生した鳥取県西部地震では、日野町内のほぼすべての住宅が被災し、困りごとを相談できない高齢者が多く、支援が届かないケースも多くあった。見守り活動では、災害への備えや日常の困りごとなどを丁寧に聞いて回っている。ボランティア団体では、高齢者の変化を記録し、助けが必要な人を把握している。日野町は、地域住民やボランティア団体と連携して、県内で初めて災害ケースマネジメントを迅速に行うための体制づくりを始めている。
災害ケースマネジメントについて、山下は、自治体・地域住民・支援団体がそれぞれ役割を果たしながら連携することが重要であるほか、町外とつながることも重要になっているなどと話した。山下は、人口減少や高齢化が生じているのはどこも同じであり、それぞれがこうした取り組みを頑張り、様々な事例を共有して、励まし合ってやっていくのが重要だなどと話した。