愛知県江南市の自動車部品メーカーは、自動車のドアやパネルの金型を製造している。能登半島地震の1週間後から開発を始めたのが「耐震シェルター」。倒れてくる家屋から空間を確保し命を守るもの。社長の野田太一さんは家業を継ぐまで形成外科医だった。東日本大震災で医療支援をしたことをきっかけに、命を守るために自分にできることがないか考え続けてきた。今回の能登半島地震で家屋倒壊による犠牲者が多い事を知り、組み立て式のシェルターを思いついたという。自動車部品を製造するときの解析技術が生かされている。この技術により試作品をたくさん作る必要がなく、コストを抑えることができた。担当者は、シェルターの設置を決めた三重県鈴鹿市の男性を訪れた。南海トラフ巨大地震では、鈴鹿市内の多くの地域で震度6強程度の揺れが想定されている。男性の自宅は築50年以上で倒壊の危険がある。家全体を耐震化するにはコストは数百万円かかる。シェルターの設置費用は約50万円だったという。現在、野田さんの会社では広い部屋に対応するシェルターを開発している。