カナダ出身の英会話講師、ミッチェル・ブラウンさんが見せてくれたのは税金や医療保険等を払う前の月収。報酬は約24万円、そこから税金などが引かれ手取りは15万円程度だという。今後は消費税の負担が生じることでさらに手取りが減る見込み。ブラウンさんが働いているのが大手英会話スクールの「GABA」。「GABA」の講師は従業員ではなく業務委託という形で会社と契約を結んで報酬を受け取る「個人事業主」。これまでは年間の売り上げが1,000万円以下であれば消費税の支払いが免除される制度があり、英会話スクール側は講師に支払った消費税分を控除することができた。しかし今月からは講師がインボイス制度に登録せず免税事業者のままだと控除が受けられず、英会話スクール側がこれまでより多くの消費税を負担する必要が生じる。英会話スクール側はすでに「契約を続けるためにはインボイス制度はの登録が必要です。(10月からは)6か月の契約の後はインボイス登録をしている講師としか契約はしません」という通知をコーチに出している。5歳の子どもがいるブラウンさんは登録はしたが、教育費のことなどを考えると母国・カナダに帰ることも選択肢だという。講師たちは声を上げている。15年間「GABA」で講師として働いてきた阪崎さんは契約が更新されず、来年3月で仕事を失う恐れがある。公正取引委員会は企業に対し、免税事業者との取引で不当な契約解除や値引きをしないよう注意を呼びかけている。取材に対しGABAは「来年4月以降は課税事業者としての登録のある方とのみ契約する方針で、ご理解いただけるよう繰り返し説明に努めています」と話している。