現在の六本木にかつてあった吉野家でさえメニュー表には牛丼と肉皿のみでサイズも並と大の2種類だけであった。現在の吉野家のメニューにはどんぶりだけで20種類以上となっており、カレーに鰻重・定食などとメニューはよりどりみどりである。さらに小盛から超特盛まで選べるサイズは6種類となっている。吉野家は1899年に日本橋魚河岸で創業した頃のメニューは牛肉・玉ねぎ・たけのこ・糸こんにゃく・焼き豆腐などが入ったすき焼き丼のようなものであった。そして1935年、店舗が築地市場に移転したタイミングで現在の牛肉と玉ねぎだけというシンプルな牛丼になり以降は牛丼のみをメインに提供するようになっていった。そんな吉野家が1982年に別メニューを導入となり、それは朝定食であった。これは日本のファストフード店初といわれる朝の時間帯限定メニューでマクドナルドが朝マックを導入する約3年前であった。このあと吉野家のメニューはどんどん増加していくことになるが、そのきっかけとなったのが2000年代初頭から起こったBSE問題で、アメリカ産牛肉の輸入停止によって牛丼販売が一時終了となったのである。しかしこの代わりに生まれた豚丼やカレー丼が新たな人気商品になり、その後牛丼が復活した後も鰻重・牛カルビ丼・牛すき鍋膳など様々な商品が展開されるようになっていった。
