ネタニヤフ首相に対するICCの逮捕状請求には、アメリカが強く反発し波紋を広げている。同時に、アメリカの二重基準を改めて浮き彫りにしている。バイデン大統領はイスラエルの指導者たちに対する逮捕状の請求は「言語道断だ」と非難し、イスラエルとハマスは同等ではないと主張している。そして、アメリカ議会共和党はICCに制裁を科す構えを見せている。これに関連してブリンケン国務長官は21日、議会上院の公聴会で「大いに誤った判断に対処するために、適切な対応をとることを検討しなければならない。」と述べICCの判断に対してなんらかの措置をとる可能性を示唆した。実は、アメリカは過去にもICCに制裁を科している。ICCは4年前、アフガニスタンに駐留したアメリカ兵らが現地で拷問などを行った戦争犯罪の疑いについて捜査に乗り出した。これに対し、当時のトランプ政権は捜査にあたる主任検察官らに制裁を科すという異例の措置をとった。この制裁についてはバイデン政権が、その後トランプ氏のアメリカ第一主義からの転換を打ち出すため解除した。しかし、そもそもアメリカは2000年代に当時のブッシュ政権がICCの設置に反対し現在も加盟していない。他国に展開するアメリカ軍の兵士などが裁判にかけられる可能性があるためだという。一方、ウクライナに軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領に対して、ICCが戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したことについては、バイデン大統領は強く支持している。イスラエルとハマスの戦闘とロシアのウクライナ侵攻に対するアメリカの対応については。すでにグローバルサウスの国々からダブルスタンダードが指摘されてきた。そして今回のICCの逮捕状請求に対する姿勢からも浮き彫りになった。バイデン政権は、ICCの逮捕状請求について「イスラエルとハマスを同等に扱っている。戦闘休止などに向けた交渉に影響を与える。」などと主張している。しかし、ICCのカーン主任検察官の声明は、イスラエルとハマスの国際的な立場を検証しておらず、双方への戦争犯罪などの疑いを追及する姿勢を示しているに過ぎない。また、戦闘休止に向けた交渉もICCが関与するものではない。