南海トラフで起きる巨大地震について、国は最悪の場合、首都圏では津波で6000人以上が死亡し、激しい揺れや液状化などで多くの建物が倒壊するおそれがあるとする新たな被害想定を公表した。きょう公表された新たな想定によると最悪の場合、伊豆諸島と小笠原諸島の3つの島では高さ20メートル以上の巨大な津波が押し寄せるほか伊豆諸島や千葉県、それに神奈川県の7つの市町村で10メートル以上の大津波が想定されている。また最大で山梨県と長野県で震度6強、神奈川県で震度6弱、そのほかの関東の広域で震度5強や5弱の強い揺れが襲うと想定された。津波や揺れによる倒壊、液状化、火災などにより想定される死者は最悪の場合、神奈川県でおよそ3100人、千葉県でおよそ1800人、東京都でおよそ1400人、山梨県でおよそ300人、長野県でおよそ80人、茨城県でおよそ10人などとなっている。このほか避難者は最悪の場合、地震発生の翌日には1都7県でおよそ23万人、1週間後には首都圏で27万9700人余りに達すると想定されている。さらにインフラにも大きな影響が想定されていて、関東南部と甲信を中心に鉄道や道路の被害が相次ぐほか、水道の断水による影響は地震発生翌日で167万人余りに上るとしている。国は南海トラフ巨大地震が発生すれば広域に甚大な被害が及ぶとする一方、津波からの速やかな避難や建物の耐震化などの防災対策を進めた場合には犠牲者を大幅に減らすことができるとも試算している。