映画「一月の声に歓びを刻め」は、人間が抱える罪の意識をテーマにした作品だ。前田敦子演じるれいこは、偶然出会った男性に、自分が性暴力を受けた過去を告白する。子どものときに、見知らぬ男性から性暴力を受け、心に傷を抱え、その過去を誰にも話してこなかった。れいこの話は、三島有紀子監督が子どものときに経験したことがベースになっている。三島監督は、性暴力を受けて以降、自分は汚れてしまったなどと自分を責め続けたという。三島監督は、作品のなかで、れいこの「なんで私が罪を感じなきゃいけないんだよ」などといったセリフに、抱え続けた思いを込めた。カルーセル麻紀演じるマキは、性暴力によって、娘を亡くした被害者家族だ。親として、娘を守れなかったという罪の意識を抱えている。哀川翔演じる誠は、妻の延命治療をやめた罪の意識に苛まれている。映画の終盤、マキは、亡くなった娘に、「お前は汚れてなんかいない、世界で一番美しい」などと語りかける。三島監督は、人それぞれ、いろいろなことを抱えながら、生きている姿が美しいということを自分自身も、自分なりの物語のなかで語れたらいいなどと話した。映画は、今週金曜日から、全国で公開される予定だ。