北九州の旦過市場はおととし2度の大規模火災に見舞われて87店舗が焼けるなど今もその爪痕が残っている。アマチュア写真家・西村忠さんは市場の人に声をかけては次々とシャッターを押していた。およそ80店が軒を連ねる小倉北区の旦過市場。西村さんは塾経営の傍ら旦過市場を撮り続けている。会話を重ねるごとに市場の人たちに魅了されていった。2022年の2度の大火災の際、撮った写真を被災した友人に見せたところ「この写真を見てもう1回やろうと思った」と言われたという。火災で燃えてしまった娘の絵が写真で残った女性は「今はもうないけどこの写真でだったら思い出せる」と話した。鉄筋造りの施設に生まれ変わる旦過市場、段階的に取り壊しが進められている。すでに多くの店が移転や廃業を決めた。西村さんは市場の管理組合から依頼され、解体前の区画を撮影した。西村忠さんは「建物やお店の形態は変わっても皆さんの気持は変わらないでしょうし、次の世代にそれがずっと受け継がれていくと感じている」と話した。