ドイツのメルケル前首相の回顧録がドイツで出版された。16年にわたりドイツの首相を務めたアンゲラメルケル氏は、ギリシャを発端とするユーロ危機で強い指導力を発揮するなど、ヨーロッパを代表する指導者として知られた。「自由」と題された回顧録は700ページ以上に上る。メルケル氏は在任中、ロシアのプーチン大統領とも関係を築いた。回顧録では、2008年のNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議で、ウクライナの加盟に関して議論された際、ロシアの出方が十分考慮されておらず、プーチン氏が加盟を阻むために武力行使に踏み切るおそれを感じたことから、自身は反対したことを明らかにしている。その後、メルケル氏はプーチン氏から「あなたは永遠に首相ではいられない、あなたの退任後にウクライナはNATOの加盟国になる。私はそれを阻止したいと告げられた」としている。プーチン氏がウクライナのNATO加盟を防ぐことに固執し、将来、紛争が起きる懸念を拭えなかったと振り返った。また、米国の次期大統領・トランプ氏の人物評も記している。あらゆることを不動産事業家の視点から考え、国と国も競争関係にあると考えていた。協力が多くの人に繁栄をもたらすとは信じていなかったとして、価値観が異なり関係構築に苦慮したと綴っている。回顧録はおよそ30か国で出版される予定で、日本では来年5月に発売される。
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