プーチン大統領は習主席との首脳会談でロシアと中国の関係は「前例にない高水準」と強調した。注目は首脳会談と同日にロシアの政府系ガス会社「ガスプロム」が行った発表。ロシアと中国の間には6年前に稼動したロシアから中国に天然ガスを送るパイプライン「シベリアの力」がある。ガスプロムが言及したのは「シベリアの力2」。モンゴルを通過する新たなパイプラインを建設する計画。ウクライナ侵攻後、ロシアはヨーロッパに変わるガスの輸出先として中国に強い期待を寄せている。「シベリアの力2」についても早期着工を目指してきたが、香港メディアなどはモンゴルが欧米からの制裁を懸念していることなどから計画は不透明と報じていた。中国メディアはこれまでのところ覚書について報じず。ガスプロムも建設費用などは今後協議されるとしている。一方で米ブルームバーグはプーチン大統領が”外交的な勝利を収めた”と伝えている。米・トランプ大統領はロシアがウクライナとの停戦に応じなければエネルギーなどのロシア製品を購入する国々に2次関税を課すとして圧力を強めてきた。しかし中国はこれに耳を貸さなかったことになる。中国としてはアメリカと貿易協議が続いている中でトランプ政権が追加関税を課すことはないと踏んでいるものとみられるが、ロシアとしては中国との緊密さを示すとともに欧米からの圧力には屈しない姿勢を示したことになる。また、ウクライナ侵攻の戦費がロシア経済に与える影響を抑えることに繋がる。上海協力機構の首脳会議や各国首脳との対談で、プーチン大統領は”ウクライナ侵攻の原因はNATOの拡大、ウクライナのNATO加盟は認めない”等とする従来の主張を繰り返した。
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