コメが今、値上がりしている。JAグループなどが、卸売り業者に販売したコメの価格は、去年と比べて約12%高くなっている。東京・中野区にあるコメの販売店で、扱ってきたコメの中には、仕入れ価格が3割ほど上昇したものも。値段が上がった銘柄は店頭に並べず、販売する種類を限定することで対応している。さらに懸念しているのが、夏の高温障害などの気候の影響でコメの品質が下がっていること。コメの価格上昇で、コメを使った商品の値上げに踏み切る動きも出ている。東京・文京区のおにぎり専門店では、来週からの販売価格を、1個当たり20円〜30円ほど値上げすることを決めた。きょう農林水産省が開いたコメの需給状況に関する意見交換会では卸売り業者から去年の猛暑の影響でコメの品質が低下したことから、流通量が比較的少なく、特に低価格帯のコメは不足気味となっていること。一方で、インバウンドの効果もあって、外食向けの販売が好調で需要が伸びていることも報告された。流通量が減っていることが、価格の上昇につながっている。JAグループなどの出荷業者が卸売り業者に販売した「コメの相対取引価格」によると去年産のコメは、ことし4月の時点で、60キロ当たり1万5526円。前の年の同じ月より1600円余り、率にして12%高くなっている。さらに卸売業者の間での取り引きの中では、前の年の同じ時期に比べて90%以上値上がりしているものもあるという。学校給食にも影響が出ている。東京・葛飾区の中学校の栄養士・佐藤恵さんによるとことし4月に、前の年の1キログラム当たり380円から1割ほど値上がりして415円になった。追加で15円の値上げを求められ、5月には430円になった。今後、価格はどうなるのか。専門家はことしのコメの生育状況しだいだという。日本国際学園大学・荒幡克己教授は「平年通り(コメが)とれそうであれば相場は落ち着く方向に当然働く。盆明けから9月ごろにかけてことしのコメの状況がある程度見えてくる。そこで多少は変わると思う」と述べた。農林水産省は「流通量は減っているが、全国的に見れば在庫はひっ迫していないので、安心してほしい」と呼びかけている。