今、日本の市場に向けて、台湾のいわゆるスタートアップ企業が進出の動きを活発化させている。半導体やAI(人工知能)の分野で強みがあるとされる台湾の企業。なぜ日本を目指すのか。先月、都内で開かれたビジネスイベントは、台湾のスタートアップ企業の技術を日本にアピールしようと開催。AIを搭載した翻訳システムの開発会社など、台湾からおよそ50社が参加した。台湾では近年、中国との間で政治的な緊張が続いていることや技術流出などのリスクを考慮して、近隣では中国に次いで経済規模が大きい日本への進出を目指す企業が増えている。4年前に日本に進出した台湾のアプリ開発会社は、迷惑電話を防止するアプリを開発。AIによって特殊詐欺などの疑いがある電話を検出し、画面に警告が表示される仕組み。このアプリは、台湾で2人に1人がダウンロードしている。この企業は台北に本社を置き、台湾当局や東南アジアの国々の警察と連携し、特殊詐欺などの犯罪グループが使っている疑いのある電話番号などの提供を受けている。合わせて26億件に上るデータベースを基に、AIが疑わしい電話番号やサイトを割り出す。この企業は日本市場向けの新たな製品の開発も進めている。コールセンターなどで迷惑電話が増えているという日本企業からの相談を受け、アプリの技術を適用できると考えた。固定電話に迷惑電話がかかってきた場合、パソコンの画面でも警告が表示されるソフトウエアを共同で開発した。この台湾企業では、日本への進出で成果を挙げれば、今後、欧米などにビジネスを拡大する足がかりにもなると考えており、東京・渋谷区と連携して特殊詐欺の防止を呼びかける取り組みなども行っているという。また、先月には台湾企業の進出を支援する団体の窓口が都内に新たに開設されて、今後も日本を目指す動きが加速すると思われる。