石川・輪島市の漆芸家・山岸一男さん69歳。自宅兼工房で被災し、左肩を骨折した。輪島塗の装飾技法「沈金」で2018年 国の重要無形文化財=人間国宝に認定された山岸さん。沈金象嵌の技法で高い評価を得てきた。50年間モチーフにしてきたのは故郷輪島の四季折々の表情。目の前に広がるのは故郷の変わり果てた姿。業界を牽引する立場を意識しながらもすぐには前を向ききれない複雑な思いを口にした。輪島塗の従事者は約1000人、その8割は工房倒壊など何らかの被害を受けているという。職人の高齢化やさらなる担い手不足が懸念される中、目の前の現実と業界再建への思いとで葛藤する日々が続く。