小笠原諸島・南鳥島沖の海底で海底を覆い尽くすように鉱物・マンガンノジュールが密集する海域が特定された。蓄電池などに利用されるコバルトやニッケルが含まれている。きょう鉱物を大規模に引き上げる計画が発表された。東京大学教授・千葉工業大学次世代海洋資源研究センター・加藤泰治所長は「国産の資源を活用して、産業発展にできる。そのポテンシャルが非常に高い」と述べた。きょう発表された東京大学と日本財団などの研究チームによる調査結果。ことし4月〜今月にかけて、小笠原諸島の南鳥島沖にある日本の排他的経済水域で、水深5500m付近、100か所余にわたって調査が行われた。鉱物を引き上げる装置を船から降ろすと海底にあるのは無数の黒い物体。マンガンノジュールと呼ばれる鉱物。今回の調査で、マンガンノジュールが密集する有望な海域を特定。この付近には、約2億3400万トンが、資源として利用しやすい形で分布していると見積もられる。鉱物・マンガンノジュールは、直径は数センチ〜十数センチほど。深海の海水に含まれる微量の金属が長い時間をかけて沈殿して出来たもの。東京大学・中村謙太郎教授は「成長速度が100万年に数ミリとか言われている。これくらいの大きさに育つのにたぶん1千万年以上はかかっている」と語った。海底に沈んでいた岩石や魚の歯、泥の固まりなどの周りに金属が沈着し、同心円状に成長したものと考えられている。資源価値が高い金属が含まれていて、今回調査した海域からは、コバルトは日本の年間消費量の75年分、ニッケルは11年分の量が見積もられるとしている。この鉱物が眠る海域は、東京都よりも広い範囲に及ぶと発表された。東京大学などは、早ければ来年から1日当たり2500トン規模でマンガンノジュールを引き上げる実証試験を始める計画。一方で課題も。採算を取るためには引き上げる量を増やす必要があるうえ、コバルトなどを低コストで効率的に取り出す製錬技術も求められる。海底に生息する生物など環境への影響にも配慮する必要もある。東京大学教授・千葉工業大学次世代海洋資源研究センター・加藤泰治所長は「世界の中で一番進んでいるのがマンガンノジュール」と述べた。うまく開発する場所を調整しながら経済性が見合うようにできるだろう。海洋環境に負荷をかけないような開発を目指すことが最も重要」と述べた。マンガンノジュールに含まれる資源価値が高い金属は、産出できる地域が限られている。例えば、コバルトは埋蔵量の約半分がアフリカ・コンゴ民主共和国に、ニッケルはインドネシアなどに集中。各国の資源争奪戦が激しさを増す中、日本政府はことし4月、海洋資源開発を強化するための重点戦略を決定。産官学が協力し、貴重な資源をどう開発、活用していくかが重要になる。
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URL: http://www.it-chiba.ac.jp/
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