深刻な大雨被害に対して北朝鮮・金総書記が何度も現地に赴くなど被災者に寄り添う姿勢が連日報じられている。7月末、北朝鮮北西部・平安北道新義州市など中国との国境地帯で大雨被害が出た。朝鮮中央通信は先月29日から2日間タイヤまで水につかった車から身を乗り出し視察する金総書記の姿などを報じた。今月2日には災害対応に貢献したヘリコプター部隊を訪問し、直接勲章を授与。金正恩総書記は去年8月にも堤防決壊による冠水被害が出た西部・南浦市を視察し、首相や党幹部らが被災地に姿も見せないと叱責したと報じられた。北朝鮮情勢に詳しい毎日新聞編集委員・鈴木琢磨氏によると今年も被災地視察をする姿が頻繁に報じられ、「ここまで最高指導者が被災者に寄り添う報道は金総書記の祖父・金日成や父親・金正日の時には見なかった」と話している。朝鮮中央通信から、朝日新聞社の映像。今回の北朝鮮・金正恩総書記の動きについて毎日新聞編集委員・鈴木琢磨氏は「自身の偶像化を進める材料に使っているのでは」と話している。北朝鮮メディアでは5月には金総書記の肖像画が、祖父・金日成、父親・金正日と並べられ学校の教室などに掲げられている様子が確認できている。6月には金正恩総書記の肖像をあしらったバッジが公の場で着用されているのも確認されている。鈴木氏は「今年に入り自身の偶像化を進める動きが活発になっていて、今回の件もその一環では」「北朝鮮は今年1月に韓国を第一の敵国として定め、米国との関係も先行きが不透明。他国と対峙する姿勢を誇示したいのでは」と推察し、「自身の求心力を上げることで国内を安定させ国外と向き合いたいのでは」と話している。田中さんは「国のトップとして本来やるべきなのは、被災したあとで被災地を訪れるのではなくて、いかに災害を未然に防ぐのかを力を使うべきだと思う。国内の不満がこれだけ高まってるからこそ、危機感の現れで被災地への訪問を繰り返してると思う」と話し、増田さんは「自分の人気取り、国内にある不満をおさえるために自分を神格化するような独裁者としていってるようにみえる。今後一体どういう方向に向かっていくのか日本としては目が離せない」などとコメントした。