去たん薬を製造する中堅医薬品メーカー。薬不足の対応を迫られる中、工場には緊張感が漂っていた。去たん薬は厚生労働省から増産を求められているが、十分な量を実現できていない。この会社が増産を慎重に進めるには理由がある。工場では89品目もの薬を作っている。去たん薬を増産すると、ほかの薬を減産しなければならない。ほかの薬が納期に間に合わくなる可能性も出てくる。増産のために設備投資をして、生産ラインを増やすことはできないのか?設備投資にお金をまわすことができない理由は去たん薬が利益が出にくい薬だからだという。日本では薬の価格は国が決める。薬価を負担するのは国や患者など。国は医療費負担を減らすため、毎年薬価を見直して引き下げている。発売してから時間がたった去たん薬のような薬はメーカーにとって利益の薄い薬になってしまう。去たん薬を増産させるために追加勤務を現場に打診したが、人手頼みにも限界がある。薬価の仕組みが変わらなければ状況は改善しないという。