職場での熱中症の予防に厚生労働省が活用してほしいと呼びかけるのが暑さ指数。暑さ指数とは、気温のほか、湿度や日照データを考慮して出した数値。例えば、暑さに慣れた人であっても軽作業では暑さ指数が30度、工事現場のように体を動かす激しい作業では25度を超えると熱中症のリスクが高まるとして対策を求めている。暑さ指数を活用しながら熱中症対策を進める企業を取材した。福島市の工事現場。炎天下で作業員が働いている。9月中旬。この日の気温は34度。暑さ指数は29度で厚生労働省が対策を求める数値を超えていた。暑さ指数をもとに現場で徹底しているのが十分な休憩時間の確保。この日は45分の間に1回の休憩をとった。昼休みを除き、午前と午後に6回ずつで合わせて3時間にもなった。休憩中は体温を下げる対策を徹底。ミスト扇風機に当たりながら水分を補給し、アイスを食べて熱中症を防ぐ。この建設会社では10年ほど前、作業員の熱中症が相次いだ。そこで毎年、現場の声をもとに大型の休憩所や熱中症アラートウォッチなど新たな対策を取り入れて、今ではおよそ20項目に上る。そのための費用が年々増えて、ことしは2700万円に上ったが、熱中症になった作業員はことしは0人。会社では必要な投資だと考えている。専門家は職場での熱中症を防ぐには一企業の努力だけでなく、取り引き先の理解や国の支援も必要だと指摘する。厚生労働省によると、去年、職場での熱中症で亡くなった31人のうち25人は勤務先の会社が暑さ指数を把握していなかった。来年の夏に向けて今から対策を進めていく必要がありそう。