台湾で“建材銀行”と呼ばれるユニークな組織の代表を務める陳正哲さん(55)。台湾では日本統治時代などの建造物が老朽化で解体を余儀なくされる建物も多くあり、陳さんはそうした建築物の貴重な建材を適切に管理・保存し有効活用する取り組みを進めている。日本統治時代に砂糖工場の医務室だった建物の中に“建材銀行”はある。陳さんは大学の建築学部で教授を務め、歴史的建物の保存や活用について研究している。解体される建物の持ち主から寄付の申し出があった建材のうち“使用可能なもの”を無料で回収。木材から釘などを抜き、綺麗にした上で修復工事が行われる建物に無償提供する。これまで170以上の建物から建材を受け入れ、2万点以上をデータベース化。1つ1つに番号をつけ、年代・大きさなどを管理することで、必要な建材をすぐに見つけ出せる。陳さんはこれからも地道な活動を続けていく考え。同様の組織は台湾以外の地域にも設立され、建材や再利用する動きは台湾各地に広がっている。