都内の不動産会社を取材すると、外国人から中古マンション1棟をまるごと購入し、民泊として運営したいという問い合わせが急増しているという。外国人オーナーと住民のトラブルも顕在化。制度が実態に追いついていない課題が浮かび上がってきた。中国から来日したキムシュンレイさん。2015年から民泊を経営している。来月浅草に新たな民泊をオープンさせるという。物件を選ぶポイントは「駅近」だと話す。宿泊客の7~8割が外国人。特に家族連れに人気があるという。1泊2人で3万円前後。3人目からは1人5000円室料がアップ。このマンションを賃貸で貸し出すと月に約80万円、民泊にすると300万以上。東京23区住宅民泊事業の届出数推移(国交省より)。管理費は売上の約40%の費用がかかる。民泊事業へ参入する人も多いという。板橋区にあるマンションの購入を考えている中国人のAさん。夏野ホームズの展さんは1棟買いたいというお客さんが多いと話す。外国人客は相場価格と比較すると1~2割高値で購入する傾向にあり、不動産価格高騰の一因となっている。民泊バブルで異変が起きているのが大阪市。外国人観光客の宿不足を解消するため、2016年に大阪市が特区民泊を導入。大阪市の特区民泊施設数は6194件。特区民泊を導入している8つの自治体のうち、9割位上が大阪市に集中。大阪府の吉村知事は「新規受付は停止すべきじゃないか」と発言。背景には騒音やごみ問題などのマナー違反。民泊に対する近隣住民からの苦情(大阪府)。マンション1棟を民泊使用にするため退去を要求する例もある。阪南大学の松村教授の調査によると、大阪府が認可した施設の4割以上で中国系の個人や法人によって運営されているという。経営、管理ビザは「資本金500万円以上」、「2人以上の常勤職員」で取得できる。松村教授は「移住に繋がるステップのハードルが低い」とコメント。大阪市は特区民泊問題でプロジェクトチームを立ち上げ、9月に具体的な対策を固める方針。
