アメリカの連邦控訴裁判所は、トランプ政権が発動した相互関税などの措置について「無効で違法だ」などとした1審の決定を支持する判断を示した。トランプ政権が「政策の柱」としている関税措置は、IEEPA(国際緊急経済権限法)をその根拠としている。「異例かつ重大な脅威がある場合、大統領が緊急事態宣言をすれば輸出入に規制可能」と定めており、トランプ大統領は「巨額の貿易赤字などが緊急事態にあたる」と主張し本来議会が決める権限を持つ関税を発動させた。しかしこれにアメリカの中小企業やニューヨーク州など12州が訴えを起こし、1審にあたる国際貿易裁判所はことし5月「大統領の権限を越えている」などとして差し止めを命令した。そして政権側の控訴を受けた連邦控訴裁判所は、その命令を支持する判断を示した。1審で差し止め命令の対象となったものには、日本にも関係がある相互関税や10%の一律関税も含まれる。一方日本への影響が大きい自動車や鉄鋼製品などを対象にした関税は、別の法律が根拠となっているため含まれていない。トランプ関税に対する否定的な声は、国民からも上がっている。最新の世論調査では、トランプ政権が進める輸入品に対する関税の引き上げについて「支持しない」が61%に上っているほか、今後数年間に関税が国全体へ悪い影響を与えると答えた人は半数を超えている(米世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」)。今回の裁判所の判断について、トランプ大統領はSNSで「これらの関税がなくなれば国にとって大惨事だ」などと投稿。連邦最高裁に上訴する意向を示している。同志社大学の三牧聖子教授は「裁判がなされている間は関税措置が続くので、すぐに影響が出るわけではない。それでもだんだん物価に影響が出てきて、秋ごろから価格に本格的に転嫁されると見られている。小売業者や中小企業、消費者からは悲鳴の声が出ている」などとコメント。そのうえで日米の間でトランプ関税をめぐる交渉が続いていることに触れ、「より慎重な姿勢が必要だ」と指摘した。
