名古屋大学病院の西尾はこの日、週に1回ある放射線科の医師たちとのカンファレンスを行っていた。西尾は声帯を失った人が再び自分の声を取り戻すことができたらと考えており、3年前から患者の音声録音データと電気式人工喉頭を使って自分の音声をコントロールできるようにする研究を行っている。田島もプロジェクトに参加して手術前に自身の音声を録音していた。西尾はこれをセイブ・ザ・ボイスプロジェクトと銘打って産学連携プロジェクトとして運営している。田島は術後、外出をほとんどすることがなくなり、出向く店は顔なじみの店ばかりとなっていた。西尾はこの日、セイブ・ザ・ボイスプロジェクトの共同開発者の一人である名古屋大学の小林とミーティングしていた。小林は電気喉頭の音声と本人の音声データにAIを合わせることでより自然で抑揚のある音声が可能になるなどと解説した。
愛知・幸田町、この日田島は息子の家に遊びに訪れ、孫と触れ合っていた。田島は自分の音声を録音した時、孫にもメッセージを残していた。
愛知・幸田町、この日田島は息子の家に遊びに訪れ、孫と触れ合っていた。田島は自分の音声を録音した時、孫にもメッセージを残していた。