2007年8月、沖縄県名護市の病院に40代男性が診察にやってきた。2週間前ぐらいから風邪っぽく、食欲不振だという。大濱俊彦医師は患者の口から果物が腐ったような甘酸っぱい臭いがすることに気づき、採血を行った。健康な男性の血糖値は100前後だが、この男性は1150という数値を叩き出していた。同様に血中のケトン体の量を示す数値も平均の10倍。ケトン体が増えると口臭や尿から甘酸っぱい匂いが出ることがある。大濱医師は1型糖尿病の可能性を疑った。なんらかの原因で自己免疫細胞が膵臓を攻撃して破壊するため、インスリンの分泌ができなくなってしまう。