6月6日は梅の日とされていて、梅の収穫が最盛期を迎えている。梅の実にことし異変が起きている。全国有数の梅の産地、和歌山・田辺市にある熊野本宮大社で豊作を願う梅祭が行われた。全国一の梅の産地である和歌山・みなべ町の小学校では、梅の日とされるきょう、子どもたちが自分で作った梅干しのお握りを食べた。しかし南高梅のことしの収穫量は、過去10年で最も少なくなる可能性が高い。和歌山県と梅の産地のJAなどで作る協議会によると、南高梅の実の数は、過去10年の平均と比べてみなべ町を含む4つの自治体は38%、田辺市を含む4つの自治体は50%にとどまっている。日高果樹技術者協議会事務局・行森啓さんは「昨年の暖冬の影響がまだ続いている。着果量が少なくなっている。果実の落下が続いているので、さらに少なくなると思う」と述べた。梅の不作は各地で。梅農家・横田邦夫さんは「凶作というか、どうしようもない」と語った。埼玉・越生町では、生産量がふだんの3割ほどになる見込み。梅の直売を行う毎年恒例の梅フェアが中止になった。梅の名所として知られる茨城・水戸市・偕楽園で、きょうから始まったのは梅の実落とし。きれいな花を咲かせるために、実が熟す前に収穫。収穫した梅は、あさって販売する予定だが、収穫量は少ないと見られている。茨城県偕楽園公園課・須藤友久課長は「ことしは昨年に比べればかなり落ちると見込んでいる」と語った。さらに懸念されるのが、価格の高騰。和歌山・和歌山市の産直市場では、先月下旬から梅の販売を始めているが、1キロ当たりの平均価格は例年と比べて200円〜300円ほど高くなっている。この不作の年、梅の名産地は、どう乗り越えようとしているのだろうか。和歌山・みなべ町で、梅の製造販売会社・岩本智良社長は「産地全体にひょうが降ったので、傷がない梅が非常に少ない状態」と語った。不作に加えて、3月に降ったひょうで傷がついた実も多かった。岩本社長は、傷がついた実を訳あり品として、初めて販売することにした。さらに人気の加工品の販売を増やすことで売り上げの確保を目指している。岩本社長は「1年間知恵を出して努力している状態」と語った。将来を見据えた対策も始まっている。梅の栽培技術などを研究する和歌山・うめ研究所が取り組むのが、暖冬に強い新たな品種の開発。うめ研究所・柏本知晟副主査研究員は「高温、乾燥に強い台湾(の品種)を使ってきて、さらに冬の暖かさに強いのが明らかになった。そういったもの(台湾の品種)を在来の品種に入れていく。近年(暖冬の)スパンが短くなり、農家から(品種改良の)要望があがっている」と語った。