「柔道畳」は稲わらを使った畳床にトカラ列島で栽培されていたシチトウイという植物の茎を材料にした畳表を縫い合わせるのが伝統的な製法。鹿児島県畳工業組合では今年10月に開催される「かごしま国体」を盛り上げたいと去年末から昔ながらの材料・製法で「柔道畳」を復元するプロジェクトをスタート。おととい県産の稲わらを使った「畳床」に現在は大分県の国東半島で数件の農家しか栽培していない「シチトウイ」の畳表を長さ17センチの針で縫い合わせて完成させた。出来上がった畳の表面には約550針もの縫い跡が残り、激しい稽古に耐えられるよう柔道の創始者・嘉納治五郎と畳職人が話し合って改良を重ねたかつての製法を踏襲したもので、昭和39年の東京五輪まで使われていた。組合のメンバーは文献を集めたり柔道畳を復元したことがある横浜の畳職人のもとを尋ねるなどして研究を重ね、復元にあたっては丈夫で強いシチトウイにクッション性を出すため、切った稲わらを間に敷き詰めるなどの工夫も施したという。組合の理事長は「こういう畳で東京オリンピックまでは使われていたということを知ってもらうために展示できるところに置かせてもらえたら」と語る。