ソシエテジェネラル証券・剱崎仁の解説。2月くらいから早期の利上げを織り込み始めている。剱崎さんは「4つのデータの発表がこの利上げ見通しの前倒しに寄与していると考えている。1つ目は2月5日に発表された昨年12月毎月勤労統計。現金給与総額ベースの実質賃金はすでに5月の利上げを後押しする内容ではなくなっている。2つ目は2月17日に発表された昨年10−12月期の実質GDP成長率が高い伸びとなったこと。ただその大部分は輸入の大幅な減少に実は起因している。輸入の減少は内需の弱さを反映したものと解釈することも可能で決して前向きな評価ができるような内容ではない。3つ目は3月6日に発表された今年の春闘における労働組合の賃上げ要求集計結果で賃上げ要求が6.09%と昨年の5.85%を上回ったこと。日銀は1月の会合で今年の春闘において昨年並みもしくはそれを上回る賃上げが実現する可能性が高まったということに対し0.5%まで金利を上げているという状況。我々の予想通りであれば春闘の第1回の集計結果はほぼ日銀の想定の範囲内。4つ目は1月の毎月勤労統計で一般労働者の所定内給与が94年1月以降で最高の3.1%増。日銀が実は最も注目しているサンプル替えの影響を受けない共通事業所ベースがあるがこれは実は3%増で昨年7月と同水準レベル。この結果が物価の上振れリスクが高まっているとの判断には必ずしもつながらないだろう。今後注目のデータは日銀短観、5年後の大手企業非製造業のインフレ見通し、4月東京都区部消費者物価指数。輸入物価が財と一般外食への価格転嫁が強まっている。賃金が一般サービス価格への転嫁度合いは強まりがみられる状況ではない。日銀は4月と10月に一般サービス価格の価格改定が集中すると指摘。4月の東京都区部のCPIで一般サービス価格が想定以上に上昇しているとなると5月の利上げの角度が高まる可能性がある。私は7月もしくは9月というのが利上げの予想になっている」などと述べた。