東京・中央区にある国立がん研究センター中央病院でがんの手術に使う局所麻酔薬「アナペイン」が、8月以降ほとんど入荷しなくなった。別の麻酔薬も使うようにしているが、その麻酔もアナペインの不足に伴って需要が増え入荷量が減少。これまでは1回使用したら余った分は廃棄していたが、今は使用前のパックから無菌状態で注射器に小分けにして2回分使えるようにしている。それでも早ければ12月には在庫が底をつき、手術の延期などを検討せざるをえなくなる可能性がある。アナペインの販売会社サンドによると、製造を行う関連会社が製造所を海外から国内に移そうとしたところ、ことし4月技術移転に時間がかかることが明らかになり、国内での製造が延期に。海外の製造所とはすでに契約が切れていて元の状態に戻すこともできず、ことし6月から出荷を制限しているという。国内で製造を始めるめどは立っていないという。厚生労働省や日本麻酔科学会などは全国の医療機関に対して、麻酔薬の使用に優先順位をつけたり使用量を減らしたりするよう呼びかけている。心配の声はアナペインを無痛分べんで使用する産婦人科からも上がっている。分べんの9割以上を無痛分べんで対応している東京・世田谷区の産婦人科クリニックでは、アナペインの入荷状況がさらに悪化した場合、無痛分べんを制限せざるをえなくなる可能性がある。日本産科麻酔学会はアナペインを少量の鎮痛薬と組み合わせて使用するなどの対応策を産婦人科に周知している。またジェネリック医薬品として承認されたため、今後ほかの会社が発売するという情報もあるということで、妊婦に対して不安にならないよう呼びかけている。
住所: 東京都中央区築地5-1-1
URL: http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/
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