モンゴル抑留で父親を亡くした鈴木富佐江さんは当時の歌とともに歴史を知ってほしいと活動している。捕虜となった日本人たちはモンゴルの政府庁舎や国立大学の校舎の建設などに従事させられた。約1万4000人もの日本人が極寒の地で十分な食料もない中、厳しい労働を強いられた事実はあまり知られていない。鈴木さんは1936年に4人きょうだいの長女として旧満州で生まれた。父親の荒井醇さんは終戦の3か月前に召集され、終戦から1年半後にモンゴルで亡くなったそう。鈴木さんはこれまでモンゴルに10回以上足を運び慰霊などの活動を続けてきた。ことし7月に両陛下がモンゴルを公式訪問された際には遺族代表の1人として立ち会い、労いの言葉を受けたことで抑留の事実を伝えたいという思いを強くしたそう。そこで抑留者が当時歌っていた曲を通じて歴史を語り継ぎたいと考え、声楽家の田中利幸さんに譜面に起こすよう依頼した。さらに多くの人に曲を知ってもらおうと千葉市で講演会を開き、歌が披露された。
住所: 東京都千代田区