軍事的圧力を強める中国を前にドローンに力を入れる台湾。台湾製ドローンの開発では安全保障の観点から中国企業を排除している。その中核となっている研究施設を取材した。先月、中国・深セン市で開かれたドローンの展示会。中国では400社以上がドローンを製造し、世界シェアは7~8割。そんなドローン市場で今、拡大している分野が軍事分野。ロシアに侵攻されたウクライナは戦力差がある非対称戦争を強いられる中、ドローンが重要な役割を果たしている。台湾当局もこれに注目。中国からの軍事的圧力に直面し、ドローンの重要性が高まっている。南部の嘉義県。飛行実験を行っているのは台湾のラジコンメーカーが開発中の偵察ドローン。完成すれば10時間以上飛行し、100キロ先まで偵察が可能になるという。その特徴は、部品から技術まで台湾企業と連携した点。中国企業は全て排除。研究・開発を行っているのはアジアドローンAIイノベーション応用研究開発センター。軍事用を中心に台湾製ドローンにこだわっている。一方、中国を排除することで、コストアップや材料調達が困難になるなど様々な課題も。方針次第では産業を維持できない可能性もあるという。安全保障において大きなメリットが見出されている台湾製ドローンだが、今後の飛躍は海外市場への売り込みや政府の支援なしでは容易ではなさそう。