日本をはじめとする国際社会は20年にわたって莫大な資金を投入しアフガニスタン社会を支援した。最大の成果は女子教育とされたが、ユネスコは「アフガニスタンの学齢期の少女80%相当の250万人が教育を受ける権利が失われている。タリバンは20年間の教育着手の着実な進歩をほぼ消し去った」としている。タリバン復権の要因の1つに米政府の対アフガニスタン政策の失敗がある。オバマ政権とトランプ政権のもとでタリバンと水面下で和平交渉をすすめ米軍撤退の道筋を模索してきた。米国では対アフガニスタン政策の問題点を検証する作業が本格的にスタートし、「アフガニスタン戦争委員会」と呼ばれる独立調査委員会が先月初めて公聴会を開催した。委員会は2026年8月までに最終報告書を公表するとしている。アフガニスタンでは過去20年間にタリバンとの戦闘で米兵2200人以上が死亡、アフガニスタンの治安部隊・市民は10万人以上死亡している。またアフガニスタンからの米軍の拙速な撤退がプーチン大統領に誤ったメッセージを送ってウクライナ侵攻を招いたという指摘や、アフガニスタンに残した大量の武器がタリバンや他の武装勢力に流れたという指摘も出ている。