彦根城は17世紀初めの江戸時代初期に築かれた平山城で、現存する天守は国宝に指定され、周囲には櫓が残りふもとには堀や家臣の屋敷などが当時の姿を留めている。世界文化遺産の国内候補の暫定リストに記載された1992年以来30年以上にわたって登録を目指してきた。しかし姫路城が一足先に世界文化遺産に登録され、1つの国から同じ性質の遺産の登録が認められない中、彦根城の独自性をいかに打ち出すかが課題となっていた。そこで滋賀県や彦根市が主張したのは「江戸時代の徳川幕府の大名統治システムを最も伝えているのが彦根城」というもの。おととしにはユネスコの諮問機関「イコモス」による事前評価でも登録の基準を満たす可能性が示唆された一方、「大名による統治の仕組みを十分に表現できるのか」といった課題も指摘され、去年は推薦見送りとなった。こうした中、文化庁・文化審議会は先月3日、彦根城を国内の候補として推薦することを決定。これを受け、政府は先月末までにユネスコへ暫定版の推薦書を提出した。滋賀県と彦根市は「大名が自分の統治拠点に家臣を住ませて政治を行うこと自体が海外では例をみない統治システム」とした上で、「それを伝える彦根城には文化的勝ちがある」としている。去年までは城や家臣の屋敷だけではなく、観光名所の庭園なども世界遺産の構成要素だとしていたが、文化庁の指摘を踏まえ今年は庭園などを外し、説明をよりシンプルにしたことが推薦につながったとみている。
