今年のノーベル経済学賞が発表され、アメリカ・ノースウェスタン大学のジョエル・モキイア教授ら3人が選ばれた。新しい価値を生み出しながら社会全体を前進させるという「イノベーションによる経済成長の解明」に関する研究が評価された。この研究は「AIなどの最新技術をどう利用するか?」という課題に直面する現代社会にも関連している。早稲田大学の浅古泰史准教授は「社会の一つの指針になるような、方向性を占めるような研究が受賞している」などと指摘した。今年は化学賞に京都大学の北川進特別教授、生理学・医学賞に大阪大学の坂口志文特任教授が選ばれた。しかしノーベル賞6分野のうち経済学賞だけ、これまで日本人の受賞者はいない。近年経済学賞は「気候変動」「男女間の賃金格差」など社会課題に向き合う研究が評価される傾向にある。こうした社会課題に対する認識において、日本と世界ではどうしてもずれが生じてしまうという。浅古泰史准教授は「日本でも少子高齢化やジェンダーの問題など様々な社会課題を抱えていて、その課題に真摯に向き合い分析しその積み重ねの先に評価される研究が出る」などと語った。
