中国を訪問している岩屋外務大臣が王毅外相と会談。両外相は、戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的で安定的な関係を構築する方向性のもと、意思疎通などを進めていくことを確認した。その上で、来年の最も早い適切な時期に王外相の日本訪問を実現し、関係閣僚を交えて経済協力などを協議するハイレベル経済対話を開催することで一致した。また福島第一原発の処理水放出などに関することし9月の日中両国による合意内容を着実に実施していく認識を共有し、岩屋大臣は、日本産水産物の早期の輸入再開を求めた。一方、岩屋大臣は尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動の活発化などに深刻な懸念を伝えた。そして、懸案がある中でも意思疎通を深めることは重要だとして、来年できるだけ早く、安全保障当局間の対話を行うことなどを確認した。また、深センで日本人学校に通う児童が襲われ、死亡した事件などを踏まえ、現地の日本人の安全確保に対する協力に加え、拘束されている日本人の早期解放も働きかけた。また、岩屋大臣は両国の関係閣僚との会合で、日本を訪れる中国人の観光客向けのビザの発給要件などを緩和する方針を明らかにした。具体的には、富裕層やその家族を対象に、有効期限が10年間のビザを新設し、団体旅行向けのビザの滞在可能な日数を現行の15日から30日に延長するなどとしている。先月の首脳会談に続いて外相会談が実現し、外務省幹部は、テンポよくハイレベルで意見を交わすことができていると話している。ただ、中国が前向きな姿勢を示しているのは、経済の減速や米国のトランプ次期政権に備えた動きだとして、本格的に関係が改善しているとは言い難いという指摘もある。政府としては、引き続きさまざまなレベルで対話を重ねていきたい考えだが、両国に横たわる懸案の解決にどうつなげていくかも問われることになる。