広島・呉市。早朝、任務を終えた潜水艦の乗組員たちが帰ってくる。戦艦大和が建造されたドックは今も稼働。日本海軍の街として繁栄してきた呉は、今も海上自衛隊の拠点。戦後高度成長を支えた巨大な製鉄所は去年不況で閉鎖。広大な土地は基地になる公算が高い。ここにも防衛力強化の波が押し寄せている。呉基地の対岸・江田島にある海上自衛隊幹部候補生学校。戦前は海軍兵学校として卒業後海軍の中枢を占める若者たちが学んだ。幹部候補生学校には防衛大学校と一般大学の卒業生が入学し、1年間の課程を終えて幹部になっていく。今年は一般大卒が防衛大学校を大きく上回った。3月29日、一般大卒業生が入校。情報漏えいを防ぐためにまず、携帯電話が没収された。自衛隊に入った動機、世界各地で戦争が続いているが、有事の際の覚悟について聞いた。翌日、4年間の集団生活を終えた防大卒業生がやってきた。一般大生に比べて防大生は国際情勢に敏感。一般大学と防衛大学校卒業生2人ずつ。4人部屋での寮生活が始まった。1年後、彼らは現場に配属され早いケースでは、十数年で艦長や機長として部隊を指揮する。向かうのは周辺諸国の思惑が複雑に絡み合う緊迫の海域。