東日本大震災の翌日、長野県北部の栄村では、震度6強の揺れを観測する地震があり、200棟を超える住宅が全半壊した。こうした被害を防ぐため、住宅の耐震化が課題になっているが、なかなか進んでいない地域もある。住宅の耐震化率は、松本市が90%、長野市が84.4%なのに対し、大鹿村は27.5%と、県内で最も低くなっている。県建築士事務所協会が、ことし1月から2月にかけて、村内にある耐震化されていない221軒の住宅を調査したところ、およそ6割が倒壊した場合には避難や救助に使う道路を塞ぐ可能性があると判定された。大鹿村の高齢化率は45.1%。県の担当者は、高齢化が進む地域では、住宅の耐震化が進まない傾向にある。こうした中、自宅の耐震化を決めた男性がいる。耐震工事にかかる費用はおよそ800万円。県と村の補助金、合わせて150万円を利用しても、650万円ほどの出費になるが、命には代えられないと、工事に踏み切った。