奈良といえば鹿。5月から6月にかけて出産のピークを迎える。この時期は奈良公園にある鹿の保護施設では150頭の出産を控えた鹿で賑わう。奈良時代、都を守る神と一緒にやってきた鹿。この伝承から鹿は神の使いと崇められてきた。観光客に人気の鹿のせんべい。これも鹿の保護を目的として作られている。訪れたのは大正6年創業。鹿のせんべいを作るお店。店主の武田豊さん。作っているところを見学させてもらった。材料は米ぬかと小麦粉だけ。調味料や添加物は使わない。鹿のせんべいの歴史は江戸時代から。奈良に観光に来る人々の間で人気になった。鹿の体に優しいせんべいを。3代目の武田さんは幼い頃からお店を手伝い、昔と変わらぬ味を受け継いでいる。神社から特別な許可を得たものだけが製造することを許されたという鹿のせんべい。今もそれを生業として受け継ぎ、守る武田さんの心の支えだという。