茨城・大子町では奥久慈しゃもが生産されている。茨城県が特産品をつくろうと40年前に品種開発した。広めの空間で適度に運動させることで独特な肉質が生まれる。2011年の震災後には風評被害にあい、新型コロナ感染拡大で飲食店からの需要が大きく落ち込んだ。奥久慈しゃもの生産者は最盛期の3分の1の6軒に減少した。当初から生産に携っている高安正博(67)は生産組合の仲間たちと危機に立ち向かった。しゃもの品質を安定させるため、同じエサを使って生産者による肉質のばらつきをなくした。さらに飼育日報を毎日つけてしゃもの体調管理を行った。こうした努力により農林水産省から“奥久慈しゃも”のブランド名が保護対象として認められることに成功した。コロナによる自粛が緩和された去年からは注文が一気に舞い込むようになった。現在は後継者の育成が急務となっている。生産組合では積極的に奥久慈しゃもの生産入門講座を開催している。小規模な副業としても始められることをアピールして興味を引きつけている。高安は「新規で来てくれるのは夢のよう。そういう人の期待に応えられるように頑張りたい」と話す。