新型コロナウイルスで13万人を超す命が奪われた日本。その時の経験や教訓が十分に生かされていない実態が取材で見えてきた。感染症対策の中核を担う保健所。いまも感染症の発生状況や患者数の把握にあたっている。コロナ禍では全国の保健所の業務がひっ迫。原因の一つが医療機関から患者の情報がFAXで大量に送られてきたこと。紙ベースでの情報の処理に忙殺されて感染者数の把握に膨大な手間と時間がかかった。この教訓をもとに国はシステムを改良、患者の情報を医療機関からオンラインで報告できるようにしたが感染症の発生報告はいまもFAXで保健所に届いている。病床のひっ迫を防ぐ取り組みでも課題が。済生会横浜市東部病院。ことし1月に流行した季節性インフルエンザでは病床がひっ迫しすべての患者を受け入れることができなかった。いまも病床の確保に日常的に苦心。 「平時でも厳しい状況の中、現場任せの調整には限界がある」と危機感をつのらせている。