今年8月、栃木・宇都宮市と芳賀町を結んでLRTが開業した。国内では75年ぶりとなった路面電車の新たな開業から2か月あまりが経ち、市民の暮らしや周辺の交通状況が代わり始めた一方で、課題も見えてきている。宇都宮市に住む井手和幸さんは、車で通勤していたとき、毎朝の渋滞に悩まされていた。20分の距離が日によって40分以上もかかることもあり、大きな負担になっていた。社会人になり10年以上が経って、LRTを利用することで初めて渋滞を気にせず通勤できるようになった。開業当初から井手さんのようにLRTを利用する人が多く見られている。平日の利用者数は1万2000人以上。生徒の通学にも利用され、以前は車で送迎したり自転車で通学したりする生徒も多かったという。周辺の交通状況の変化を調査する社会実験も始まっている。解析結果は行政とも共有し、宇都宮市が目指す“車だけに頼らない移動しやすいまち”の実現に向けた交通政策に生かされる予定。一方、路面電車と車との事故が1か月で3件相次いだ。いずれもけがをした人はいなかったが、警察や運営会社によると、ドライバーがLRT開業に伴うルールを理解していなかったことなどが原因とみられている。啓発活動や道路標示の改善などで事故防止を図る考え。
住所: 栃木県下野市医大前3