山岳ライターの小林千穂が富士山を旅する。富士山の美しい曲線を描く山裾にコブのように突き出ている宝永山。宝永山の第1火口は富士山の山頂の火口よりも大きい。宝永4年11月23日、富士山の南東斜面から噴煙が吹き出した宝永大噴火は16日間にわたって続き、噴煙は2万メートルまで達したと推測されている。噴火が起こると地下深くから熱いマグマが吹き出し飛び散ったマグマが空中で冷えて固まると火山弾になる。現在の宝永山火口付近にも赤い火山弾が多数転がっている。火口から飛び出した噴出物は強い偏西風にあおられ東側の斜面に降り積もった。宝永山は噴火の噴出物が200mも堆積してできた山で、たった2週間で作られたという。