日本製鉄によるUSスチール買収計画について解説。12日に開かれたUSスチールの臨時株主総会で買収計画は承認された。買収完了に向けた次の関門は労働組合との交渉になる。全米鉄鋼労働組合=USWは「これで買収手続きが完了するわけではない。雇用や収入・福利厚生が保証されるよう戦い続ける」と反対を続ける構え。雇用について日本製鉄は「組合員の解雇も工場の閉鎖もしない」と言っている。そして次の関門がアメリカの関係当局の承認を得ること。対米外国投資委員会=CFIUSは安全保障上のリスクと判断すれば買収の枠組みに修正を求めたり大統領に判断を委ねることになる。今回の買収についてアメリカ議会の一部の上院議員は「日本製鉄は中国政府とつながっている。調査すべきだ!」と主張している。これに日本製鉄は「買収内容を見れば安全保障に問題がないことがクリアに分かるだろう」としていて理解を求めたい考え。審査は申請届け出から原則45日間。仮に申請が長引けば今年9月までとしている買収計画が後ろ倒しになる可能性もある。そして11月には大統領選挙がある。先が読みにくく買収計画が不透明な状況が続きそうだ。