ことしの防衛白書がきょうの閣議で報告された。防衛白書では中国について伊豆諸島から小笠原諸島、グアムなどを結ぶ第二列島線まで活動を活発化させ、ロシアとの連携強化の動きを一層強めているとしている。また台湾周辺での軍事活動を活発化させ、台湾との間で軍事的緊張が高まる可能性も否定できないとしている。一方、北朝鮮については装備体系の多様化や情報収集といった質的な意味での核ミサイル能力の向上に注力しているとしている。そして日本としては、相手のミサイル発射基地などを攻撃できる反撃能力に活用する国産のミサイルなどを2025年度から配備していくとしている。白書では「日本を取り巻く安全保障環境を戦後最も複雑で厳しい」とし防衛力強化を急ぐ必要性を強調しているが、今その足元が揺らいでいる。自衛官による特定秘密の不適切な取り扱いや手当の不正受給、防衛官僚によるパワハラといった不祥事のほか重大な事故も相次いでいる。自衛隊でもなり手不足が深刻な課題となる中、こうした不祥事や事故は人材確保を困難にし防衛力の強化に支障を来すことにもつながりかねない。組織を挙げた実態解明と再発防止の徹底が不可欠といえる。