27年前、神戸市で小学生2人が殺害された児童連続殺傷事件について。裁判所による事件記録の廃棄。それは遺族から何を奪ったのか。息子を亡くした父親は「まさか重大な事件の記録を廃棄することは、ありえないだろうと思っていたので最初は、うそだろう、間違いだろうと思った」と話す。息子の命日に合わせて綴られた手記を紹介。当時の少年法では、遺族は少年審判に参加できず、事件の記録も見ることができなかった。事件の真相を知りたいと父親は裁判所に記録の閲覧を申請してきたが、許可されることはなかった。父親「事件記録がなくなれば、私たちの思いがまったくついえてしまう。非常にショックを受けた」。最高裁判所は去年、 記録廃棄についての調査報告書を公表。全国の裁判所は52件に及ぶ重大少年事件の記録を廃棄していたと明らかにした。神戸事件の記録を廃棄した理由については「これまで神戸家裁において特別保存に付したものはないと聞いていた。記録庫が狭かったことなどを総合的に考慮し、廃棄の手続きを進めた」と記されている。さらに各地の裁判所に対して最高裁は「特別保存の膨大化の防止策に取り組むべき」というメッセージを出していた。報告書ではそれが特別保存への消極的な姿勢を強めることになったとして、最高裁の対応は誠に不適切だったと指摘している。父親は息子を亡くして以降、事件に関する記事などを電子データとして保存してきた。そこには新たに、事件記録廃棄の記事が加わっている。この神戸事件がきっかけとなり、2000年に少年法が改正された。遺族は事件終結から3年間、記録の一部の閲覧や謄写が認められるようになった。法改正前の神戸事件について、遺族は記録の閲覧が許可されなかった。